個性的なリズムが魅力!アルベール・ルーセルの音楽 他

アルベール・ルーセル(1869-1937)は、「印象主義から新古典主義に進み、ラヴェルとともにドビュッシー亡き後のフランス楽壇をリードした作曲家」(ウィキペディアより)。海に憧れて最初海軍に入りますが、25歳で退官し、その後、本格的に作曲を学び始めた晩学の人です。同時代の作曲家に比べると、形式的でどちらかというと保守的な作風ですが、躍動感溢れる強烈なリズム、エキゾチックな旋律、硬質な響きなど、特徴のある個性豊かな作品を書いています。まずはピアノの小品から聴いていただきましょう。

ルーセル:3つの小品 Op.49~第1番


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ルーセルの代表作といえば、傑作として名高い交響曲第3番(1930年)。第1楽章の冒頭から、一度聴いたら忘れられないような躍動感溢れる個性的なリズムが炸裂します。ショスタコーヴィチの交響曲に匹敵するぐらいの面白いリズムです(笑) その第1楽章をYouTubeからどうぞ。




ところで、ルーセルの有名な門人として、エリック・サティやエドガー・ヴァレーズといった個性派作曲家がいます。サティ(1866-1925)は、ドビュッシーやラヴェルなど、印象主義の作曲家たちに多くの影響与えた「音楽界の異端児」的作曲家。サティの突飛で革新的な技法は後に評価され、20世紀音楽の先駆者といわれることもあります。

サティ:ジムノペディ第1番


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次にエドガー・ヴァレーズ(1883-1965)ですが、こちらも作風は超個性的。ウィキペディアによると「セリー技法によらない作曲法、多数の打楽器の使用、電子楽器の使用など、今までの音楽とははっきりと一線を画する斬新な音響空間は後の作曲家に大きな影響を与え、音楽の可能性を拡大した」ということです。ヴァレーズの代表作のひとつ、1931年に作曲された打楽器アンサンブル曲、「イオニゼーション(電離)」を紹介しておきます。鳴り響くサイレンの音が堪りません!(爆)




さらに話を広げましょう。ルーセルが評価した日本人作曲家がいます。それは映画「ゴジラ」のテーマ曲を書いたことで有名な伊福部昭(1914-2006)です。伊福部昭についての詳細な解説は、ウィキペディアのこちらをご覧ください。

まずは「ゴジラ」のテーマ。




さて、ルーセルが伊福部昭を評価したというのは、1935年にパリで催されたアレクサンドル・チェレプニン賞(日本管弦楽作品作曲コンクール)という日本の作曲家のためのコンクールで審査員を務めたことによります。アレクサンドル・チェレプニンというのは、ロシア革命でロシアからパリに亡命した作曲家で、日本などの東洋音楽にも深い興味を示しました。チェレプニン賞のために伊福部は「日本狂詩曲」という作品を送りましたが、この作品を送る際に、『パリへ楽譜を送る際、東京からまとめて送る規定になっていたため伊福部の楽譜も東京へ届けられたが、東京の音楽関係者はその楽譜を見て、
1. 平行五度などの西洋音楽の和声の禁則を無視し、その場の日本人にとって下衆に見えた日本の伝統音楽のような節回しが多いこと
2. 当時としては極端な大編成である編入楽器多数の(打楽器奏者だけで9人を要する)三管編成オーケストラが要求されていたこと
3. 北海道の厚岸町から応募してきたこと
との理由から、相当の驚きと困惑があったと言う。とくに1.の理由により「正統的な西洋音楽を学んできた日本の中央楽壇にとって恥だから、伊福部の曲を応募からはずしてしまおう」という意見も出たが、「審査をするのは東京の我々(その場にいた日本人)ではなくパリの面々だし、応募規程を満たしているのに審査をはずす理由もなく、せっかく応募してきたのだから」という理由で、伊福部の曲も無事パリの審査会場へ届けられた』という面白いエピソードがあったそうです(ウィキペディアより)。無事に届けられた伊福部の作品は、審査員全員一致で見事チェレプニン賞の第1位を獲得しました。翌年(1936年)にアメリカで初演され、大好評だったそうですし、また1938年にはフィンランドでも初演され、シベリウスが大絶賛したそうです。なぜか日本での初演は1980年・・・!?さらに伊福部は、1938年に「ピアノ組曲」で、ヴェネチア国際現代音楽祭に入選を果たし、国際的名声を獲得していきます。

「日本狂詩曲」は今から紹介しますが、ほとんど作曲を独学で学んだ素人作曲家が1935年当時、こんなとてつもない管弦楽作品を作ったということはスゴイ!ホント、驚きですね!!(@_@)

伊福部昭:日本狂詩曲 第1楽章「夜曲」・・・シベリウスが大絶賛したといわれる楽章です。




伊福部昭:日本狂詩曲 第2楽章「祭」・・・打楽器が大活躍!とにかくエネルギッシュ!!



※追記。伊福部昭については、また取り上げました。参考までにお知らせしておきます。
http://8055.at.webry.info/201611/article_3.html

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この記事へのコメント

ジョージ
2011年08月03日 22:44
ルーセルが、こんなに勇壮な曲を作っているとは知らなかった。もう少し退屈なイメージがあったので・・・・。
イオニーゼーションの動画も素晴らしい! やはりサイレンが決め手です。スターリーンが聴いたら、即刻処刑でしょうね。
伊福部はゴジラのイメージが強いですが、和と民族主義が融合した、独特の旋律があって面白いと思う。

今回のエントリーは滅茶苦茶面白く、かつ興味深かったです。
2011年08月05日 00:12
こんばんは、ジョージさん。今回は、いや今回も、無理矢理、私の好きな方向に話を広げてみましたよ

まず、ルーセルの音楽ですが、晦渋な作品もあるので、退屈なイメージは合っているかもしれません。ここで紹介した交響曲第3番は、第2楽章がちょっと渋めですが、全般的に明快な作品で聴きやすいですね。リズムの面白さと硬質感のある音楽が魅力です(^^)

それから、ヴァレーズの「イオニゼーション」、映像がナイス!(^^b いろんな打楽器が登場して楽しいし、もうサイレンなんて鳥肌モノ・・・。最後のほうでピアノが登場するけど、腕全体を押しつける乱暴な弾き方からして、完全に打楽器として扱ってるよね。いや素晴らしい!1931年にこんなヘビーな音楽を作るとは・・・ヴァレーズは天才だね。スターリン時代のソ連でこんな音楽を作ったら、まあ処刑とはいかないまでも、強制収容所行きかな(爆)

最後に伊福部昭、多くの作品でゴジラの香りがしますよね(笑) 1930年代の日本で、こんな民族的な音楽を前面に押し出した「日本狂詩曲」というドエライ作品を作ったことは見事だと思います。伊福部は、ストラヴィンスキーの「春の祭典」を聴いて作曲家になることを目指したそうですが、日本狂詩曲のバーバリズム溢れる狂乱の響きは「夏の祭典」といった感じかな(笑)一定パターンのフレーズ反復、いわゆるオスティナート効果で音楽が盛り上がっていくのは、聴いていて気持ちがいいね。似たような作品で伊福部節が炸裂するオススメ作品が、「シンフォニア・タプカーラ」の第3楽章。特に最後はすごく盛り上がりますよ(^^) YouTubeから紹介しておくね。
http://www.youtube.com/watch?v=RteWz4IXRmY&feature=related

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