ミニマルの偉大な先駆者~スティーヴ・ライヒの音楽

前回、サティの長大な反復する音楽について紹介したので、今回は反復音楽である「ミニマル・ミュージック」の先駆者、スティーヴ・ライヒの音楽を取り上げたいと思います。

「ミニマル・ミュージック」とは、1960年代からアメリカを中心に盛んになった、最小限の(=minimal ミニマル)音素材を執拗に反復させる音楽のことです。最小限の音素材といっても、そんなに厳密なものではなく、今では、ある音素材が反復しながら変化していくプロセスを楽しませる手法の音楽が、「ミニマル・ミュージック」といえるでしょう。もともとはクラシックの現代音楽(実験音楽)から誕生したものですが、その後、電子音楽機器の発展に伴い隆盛したテクノ・ミュージックにも大きな影響を及ぼしました。ジャンルを問わず幅広い聴衆層から支持されていますが、音楽が執拗に反復するため、聴いていると気が狂いそうになる、といって毛嫌いする人もいます(笑)

そのミニマルの巨匠として、バツグンの知名度と圧倒的な人気を誇っているのが、スティーヴ・ライヒです。クラシック畑の作曲家ながら、他のジャンルのミュージシャン、特にDJたちからは熱くリスペクトされています。日本でも大人気で、2006年に第18回高松宮殿下記念世界文化賞の音楽部門を受賞し、2008年には武満徹作曲賞の審査員も務めています。ライヒの詳細については、ウィキペディアの次のところを参照してください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%92

ミニマル・ミュージックの作曲技法は人によって様々ですが、スティーヴ・ライヒの場合、最初に着目したのが「音のずれ」でした。反復する音型パターンから、音を少しずつずらしていって音楽を変化させていく方法(漸次的位相変異)を思いついたのです。まずは「クラッピング・ミュージック」という作品を聴いていただきましょう。この作品は、二人が手拍子だけで演奏する音楽ですが、最初同じ手拍子だったものが少しずつズレていきます。このアニメーションを見るとよく分かります。




余興ですが、私もこの手法でヘボなオリジナルのミニマルをちょっと作ってみました(^^ゞ 2つのマリンバの音がずれていきます。まあどうでもいいお試し作品ですが、意外に面白い音楽ができますね。

KoUKoU:kominimal




さて、本題に戻ります。次はライヒ初期の傑作、「ピアノ・フェイズ」。2台のピアノの音がずれていき、音楽はだんだん変化していきます。シンプルながら多彩な音楽が楽しめるミニマルです。




それから、「ドラミング」というライヒ初期の代表作。パート1です(動画は前半と後半に分かれています)。ライヒはガーナ大学アフリカ研究所でドラミングを学んで、この作品を誕生させたそうです。私が大昔、ラジオのFM放送で初めてこの「ドラミング」を聴いたとき、すごい衝撃と感動を覚えました(^^)






今度は、弦楽器によるミニマル。「ヴァイオリン・フェーズ」という作品。




執拗に続けます(笑) ライヒの有名な代表作であり大傑作「18人の音楽家のための音楽」。映像はCD発売の予告編みたいで音楽は一部分だけですが、それでも多様で豊かな響きが聴こえてきます。




今まで紹介したのは、1960~70年代のライヒ初期の作品です。シンプルなミニマルである初期の頃が、私としては大好物なんですよね(^^)

最後にもう一つ映像を。これは物理シミュレーションのCGによる驚きの映像(すごくキレイ!)ですが、さりげなくライヒの「東京/ヴァーモント・カウンターポイント」(マリンバ奏者、吉田ミカ編曲)がバックで流れています。これが映像とよくマッチングしていて気持ちいいぐらい


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この記事へのコメント

スティーブ・漁り火
2010年11月07日 18:55
はじめまして。スティーブ・漁り火(いさりび)と申します。
ライヒの音楽は良いですね。初期の作品は心にスッと入ってきます。
ミニマルミュージックですが、マシュー・ハーバードについてもそうですが、アフリカンな要素を強く感じます。「前衛音楽」と言うよりも、現在の都会の砂漠に生まれた「民族音楽」であり、都会人の「心のオアシス」では無いかと常日頃感じております。
マリンバの試験作も面白かったです。
ミニマルの歴史と展開がわかるようなシリーズを、今後も期待しております。
2010年11月07日 23:28
こんばんは。スティーブ・漁り火さん。
ライヒの音楽、最近の曲も悪くはないですが、やはり初期の作品はシンプルでいいですね。ライヒもそうですが、草創期のミニマリストたちは、非西洋的な響きとしてアフリカのドラム(その他にインドのラーガやバリのガムランなど)に熱中したそうです。それがアフリカンな響きに結びついているんでしょう。とにかく、ライヒの音楽は「心のオアシス」といった感じで癒されます(^^)
また機会があればミニマルを取り上げてみたいと思います。お楽しみに(^_-)
スティーブ・漁り火
2010年11月08日 20:39
>草創期のミニマリストたちは、非西洋的な響きとしてアフリカのドラム(その他にインドのラーガやバリのガムランなど)に熱中したそうです。

道理でアフリカンで民族的なのですね。草創期は本当に素晴らしいです。

ちなみにライヒの「砂漠の音楽」には、私はオアシスを感じません。乾いたままです。

機会があったら、またちょちょこアップして下さい。
2010年11月09日 00:17
こんばんは、スティーブ・漁り火さん。
なるほど、マイフレン~ド~♪ って歌っている「砂漠の音楽」ではオアシスは感じませんか?では、その曲のリミックス(freQ.Nasty&B.L.I.M)版はいかが?フリクナスティによって、ハードなクラブ・ミュージックに仕上がってますが(実はこのリミックス作品はライヒ公認のもとで制作されたCD"Reich Remixed"の中の一曲。いわばライヒからお墨付きをもらったリミックスです)、私は砂漠の中でオアシスを発見しましたよ(^^)
http://www.youtube.com/watch?v=Bz-q-v-L2rI

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